『じゃらん』で海外推進のマネジャーを担当する設楽。設楽は仕事においてスタンスと成功体験が何よりも重要だという。大きな目標を掲げることが重要と思われがちだが、設楽が考えるスタンスと成功体験の重要性とは。

営業で培った経験を活かし海外領域を担当

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『じゃらん』の海外推進グループでグループマネジャーとして海外領域を担当しています。『じゃらん』は日本の旅行情報を日本人向けに提供するところからスタートしていますが、私たちはそれを海外のカスタマー及び旅行会社向けに提供しています。

現在は日本への観光客が増えているのでインバウンドに注力しています。『じゃらん』は外国人向けに8言語で展開してるので、海外のカスタマーにこの多言語版の『じゃらん』で予約していただいたり、海外の旅行会社向けに、『じゃらん』の部屋情報を提供し、パッケージや団体ツアーを組んでいただいたりしています。

これまで営業を8年、企画を1年半担当しました。営業では、人を巻き込むコミュニケーションや、やりたいことを実現させるためのストーリーを描くことを勉強しました。今の企画の仕事でも、社内の人や海外のパートナーと仕事を進めていく上で、営業の経験が活きています。営業を通じて、自分の発言や提案に対してお金をいただくという商売の本流を経験できたことは、今の私をつくるうえで、欠かせない経験だったと言えます。

メンバーの想いがチームに伝播する

仕事はまずスタンスありきだと考えています。スタンスがベースにあって、その上にスキルが乗っていく。スタンスがイマイチな人は、どんなにスキルが高くても土台がぐらついてしまうので、強みであるはずのスキルが活きないと、個人的には考えています。大学時代、チームスポーツの体育会キャプテンだったこともあって、スタンスを重視する考えが染みついているのだと思います。

この考え方は父が自営業者であることも影響していて、自分で自分の行ったことに責任を持つ考え方をしています。社会人になってから約10年間、スキルが足りなくてもスタンスでカバーし、小さな成功体験を積み重ねていきました。スタンスの良し悪しでスキルの習得スピードも活かし方も変わることを実感し、スタンスの重要性も学びました。

一番、スタンスが大事だと実感したのは営業マネジャーになったときです。現場のいち営業として働いているときは、がむしゃらに仕事の量をこなし自分基準で働いていればよく、自分の中だけで試行錯誤を繰り返し、量を質に転換していました。しかし営業マネジャーとして60人のメンバーと共に働くことは、個人で働くこととは異なります。一人ひとりのメンバーの力を掛け算しないといけません。

チームに影響をもたらしていたのは「このお客さんのために頑張ろう」という想いをベースに動いていた人たち。渋谷グループのマネジャーを担当していた当初、売上成績が芳しくなかったですが、営業リーダーを中心に、好業績のメンバーたちが、各自の想いを伝播させることで、みんなが想いを持った、たくましい営業へと成長していったのです。

スタンスを重視することで良い影響がチームに伝播し、全体のレベルがボトムアップしていく。これは一人で動いているときにはわからないことでしたね。

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徹底的に考えることが成功体験につながる

成長は成功体験を重ねることと同義だと思います。そうでないと自信がつきません。成功体験を得るためには、答えはなくともまずはやってみるという姿勢が大事です。

ただ、何かをやろうとすると「それは実現できるのか」「他の選択肢はないのか」など、周囲は言いたい放題に言います。そういうときに「私が24時間考えていることとあなたが1分考えたことは違う!」と自信を持って言えないといけません。自分の意見に自信を持つためには、情報を集め、顧客接点を持ち、考えを深めること。この市場、この業界は、自分が最も熟知していると言える状態にすることがまずは自分の自信になり、そして結果に結びつき、成功体験につながります。

マネジャーとして人を育てるときには、メンバーが得意なことと苦手なことを分析するようにしています。メンバーにはまず、得意なことを最大限頑張ってもらい、得意なことができて成功体験が積み上がってきたら、苦手なことを混ぜていくようにしています。強みを尖らせたうえで、苦手なことを0に近づけるために、苦手を自分で認識してもらうことを大切にしています。

人は自分が苦手な部分に気づかなかったり、気づいていても見ないふりをすることがありますが、私はその部分を遠慮なくバサッと指摘します。(笑)そしてメンバーの得意不得意はチームで認識できるようにみんなの前で笑いを交えて伝えるようにしています。そうすることで、互いをフォローし合うことができますから。

いつかやりたいことができたときのために力をつける

私は、自分と関わったことが、誰かにとってプラスに働いたらいいなと思いながら仕事をしています。1年目に担当していたクライアントから未だに連絡が来たり、以前一緒に働いていたメンバーが表彰されていたり、転職して別の会社で活躍していることを聞いたり、少し時間が経過してから「あのときの経験が今活きています」や「あの頃、本当に楽しかったですよね」「設楽さんに恩返ししなきゃと思って」と言ってもらえると、心底「良かった!」と思います。

私のリクルート人生はずっと、目の前のことを頑張っていると、次の山がやってくることの繰り返しでした。まるで、ぶかぶかの靴を履いて脱げそうになりながら、それでも走っていると、徐々に足が靴にフィットしてきて、走りやすくなってきたら、もっと大きな靴が用意されるような感覚。

営業マネジャーとしても楽しく働いていましたが、他のビジネスも経験したい、営業スキルだけはなく自分の幅を広げたいと30歳のころに考えるようになりました。新しい環境で、できることを増やしたほうがいいと考えるようになったのです。

領域と職種の両方を変えた30歳、これは私の中で大きなチャレンジでした。この経験がなければ、多分私は天狗になっていたと思いますね…。異動してから半年ほどは毎日、「異動は失敗だったかなぁ」と正直思っていましたが、この領域と職種変更という、環境もビジネスモデルも私の働き方や思考も一気に変えたこの経験は、自分の強みも弱みも嫌というほど明るみに出る、非常に貴重な経験になりました。

この先も、明確な目標は決まっていません。いつか登りたい山が見つかったときに、登るための準備をしているのだと思います。富士山に登りたいのか、エベレストに登りたいのかで、必要な準備や訓練は異なるはず。いつかやりたいことができたときに、どんな難易度の山でも、最短で最高の登り方ができるようになっておくことが大事。「あのスキル持っておけばよかった」と後悔しないように、力をつけていきたいと思います。

自分の力や考える思考の幅、助けてくれる人など、自分がやりたいことができたときのための引き出しや貯蓄を持っておくこと。若い時は自分のやりたいことを無理やり作らないといけないと思いがちでしたが、大口叩いて無理矢理目標を作るくらいなら、目の前のことに愚直に取り組んだほうがいいと思っています。


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