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Life Shift

2017.03.08

女子高生起業家・19歳の椎木里佳のいま

15歳で起業し、女子高校生社長として世間から注目を集めた、株式会社AMF代表椎木里佳。彼女は大学へと進学し、会社は5年目を迎える。10代からビジネスの世界に身を置く彼女は、事業について、炎上について、同世代についてどう捉えているのか。歯に衣着せぬ物言いで、ときに批判の的となる彼女だが、その素顔は飾り気のない19歳の女性だった。

失敗から学ぶ、次への一手

—これまで色々なサービスを手がけてきたかと思いますが、今の事業の軸はどういったものでしょうか。

主な事業はマーケティングですね。女子中・高校生を100人ほど束ねて「JCJK調査隊」として、女の子たちと一緒にイベントの企画やプロデュースなどを行っています。企業と学生の架け橋として、会社立ち上げの初期のころから続いている事業です。他には東京ガールズコレクションのアドバイザーとしてグッズの企画や、個人としてもテレビやラジオへの出演活動を行っています。

—今、椎木さんは19歳でこれから20代30代へと年を重ねていきますが、今後も女子中・高校生をターゲットにしていくのでしょうか。

それは自分でも考えているんです。たまに、女子高校生が考えていることを、さもわかったように30,40代の人たちが語っていたりするんですが、見ていてズレてるなあと思うことが多いんです。やっぱりその世代にしかわからないことってあるんです。私もそうならないように、時期を見定めていこうと思っています。

—となると、次のサービスを考えておかないといけませんが、どんなビジョンがあるのでしょうか。

まずは2020年に向けて上場を目指しています。今のマーケティングビジネスは労働集約型なので、上場するための条件を逆算していけば、何をやるべきかある程度ストーリーが見えてしまっているんですね。ただ、上場だけが目的でもないので、別のやり方をしたいなと。いまはB to Bが主な事業なので、C向けのこともやっていきたいです。

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—女子高生起業家として、その話題性を利用しようと近寄ってくる大人は少なくなかったと思うのですが、どうやって信頼できるビジネスパートナーを選んでいるのでしょう。

なにがあっても信用できる人は家族以外にいないと思っているので、あまり考えないようにしています。ビジネスの場では、やっぱりお金だったり、下心だったりがあるのはある程度はしょうがないかなと。なので考えるよりも、この人とだったら一緒に仕事したいと直感的に感じた人と組むようにしています。一回会っただけで、こいつ親友になれるな、ってビビっとくる人がいるんです(笑)

—これまで色々とサービスを手がけてきたなかで、全てが順調ではなかったかと思いますが、これは失敗したな、というのはありましたか。

昨年「ミルピク」という女の子向けの画像投稿アプリをローンチしたんですが、うまくいきませんでした。会社としては初めてのC向けのサービスで、気合を入れて挑んだんですが、初速からうまくいきませんでした。

—原因はどこに?

自分が使いたいものは他の女の子も使いたいだろうと、どこか絶対的な自信があって、マーケティングもせずにやってしまったところですね。マーケティングの会社なんですけどね(笑)。反省点です。さらにアプリのランディングページのコードの問題が出てきたこともあって…。初めて打ちのめされた経験でした。

そのとき「ToDo=すべき」と「Want=したい」は別だなと気づきました。Wantだけだったら自由にやればいいですが、上場を目指している企業としては、社員のお給料も払わないといけないし、着実に成果をあげる必要があるので、バランスを見極めていかないといけないと思っています。

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—会社としてのToDoは?

マーケティング事業はToDoです。ぶっちゃけた話、マーケティングって超絶楽しいかと言われると、そうじゃないんですよ(笑)。基本的には地味な作業の連続なんですが、これまで案件が途切れることなく続いているのは世間から求められていることなんだなと感じています。これはToDoとして続けていかないといけないかな。

実はWantのプロジェクトも進めているところで、これまでサービスやアプリなど形のないものが多かったんですが、女の子に向けた商品開発をしています。

たびたびの炎上、椎木里佳という人間

—椎木さんは炎上が起きることが多いですよね。ご自身のなかで「椎木里佳」とは客観的に見てどんな存在なんでしょう。

ほかにキャラがかぶる人がいないので、おもしろいかな。この性格は別にキャラでもなく、素の状態なので、炎上させようとは思っているわけじゃないんですよ。思ったことを発言しているだけで、自然発生的に炎上してしまう。オーガニック炎上です(笑)

—炎上はあまり気持ちのいいものではないと思いますが、どう捉えているんでしょうか。

炎上する度に自分はまだまだだなって思います。たとえば誰かがスティーヴ・ジョブズとか、孫正義さんのことを「あの人ダメだよね」って言っても、「そんなこと言うけど、あなたはその人より才能あるの?」って逆に責められる。でもまだ自分はそこまでの領域までは達せていないので頑張らないといけないなと。

—椎木さんのその独特なキャラはどこから来ているんでしょう。

このヤバイ感じですか?(笑)人の話をあまり聞きすぎないようにしていることですかね。半分は受け流して、自分のスタイルを曲げずにどっしりと構えていること。あとは母親の我の強さが影響しているかもしれません。父親ゆずりだと思われがちですが、父親は聞くところによると、全人類に好かれたいそうです(笑)。私が炎上して批判されている記事を2chで読んで泣いていたくらいですから。自分のことを言われているみたいでヤダって(笑)

あと、実は叩かれる内容って昔から変わってないんです。父親のおかげ、学生じゃなくなったら何もない、こいつ何やってるの、可愛くない、だいたいこの4つ。なのでこの4つの言葉への耐性はかなりあります(笑)

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—起業してから4年経って働き方は変わりましたか。

昔は顔と名前を売ることが第一だと考えていたので、出演に関しても断らずにすべて受けていましたが、次のステップに入った今は、ある程度選ぶようにしています。ただ、高校生のころから学業と仕事を両立しながらここまで来たので、大きな変化ないかもしれません。母親からは、大学を最優先にしなさい、大学を辞めるようなことがあったら会社も辞めさせる、と厳しく言われていますから、どちらも手を抜くことなく全力でやり切ろうと思っています。

若い起業家に求められるモノとは

—同年代と仕事することも多いと思いますが、今の若い世代は働くことに対して、どんな意識を持っているのでしょうか。

二極化していると思います。出世や起業してお金を稼ぎたい、と熱く燃えている人がいる一方で、冒険することなく安定して生きたい人がいる。その間が空洞化している気がします。あと、若い世代はいい意味でも悪い意味でもいい子が多い。自分の意見がなくて、大人の考えに惑わされて染まっちゃう。才能がある子たちでもそうなってしまう危険性があるので、もったいないなと思いますね。

—設立5年以内に倒産する会社が80%と言われるなかで、椎木さんは2月で5年目をむかえました。ここまで続けてくることができた理由はどこにあるのでしょう。

向上心と人を巻き込む力ですかね。私はプログラム書けないし、経理とか事務も苦手で、自分に出来ないことが多すぎるんですが、やりたいことだけはたくさんある。自分にスキルがないんだったら、じゃあスキルのある人たちと一緒にクリエイティブなことをやればいいんじゃないかって。私みたいに大風呂敷ひろげて、こんなことしたい、って言える人は、自分が上に立って、足りない部分は仲間を集めて補っていくやり方がうまくいっているのかもしれませんね。

—批判を浴びながらも、プレッシャーを感じると思いますが、モチベーションはどうやって維持しているのでしょうか。

いつもポジティブなんですが、それだけでは続けられなかったかな。炎上とかネガティブなパワーは強いので、つい引き寄せられて落ち込んでしまいがちですが、わたしの場合やり返すわけじゃなくて、自分に対してキレ続ける。この状態を変える努力をしろと。批判してくる人たちに対してそうだよね、と受け入れ始めたら終わりです。そのときは死ぬときです(笑)

—今の時代は大きな資本がなくても、事業を立ち上げられるようになりましたが、これから若い世代にも波及していくと思いますか。

さらに増えてくると思います。同じ世代からも出始めてきてはいるんですが、なぜか途中でやめちゃう人が多い。若手起業家といえば椎木里佳、と言われてしまうことが多いようなんです。他の若手起業家は、自分のほうがすごいのにと思っている子も多いみたいで、実際のところその意見には私も完全同意です。

—これから求められる要素はなんでしょうか。

強い個性。サービスを大きくすることも大切ですが、個が見えないので埋もれてしまう。素晴らしいサービスかもしれませんが、優れたサービスは世の中にたくさんあるので、埋もれてしまうんです。

スマートでデザインがよくて、使い勝手のいいサービス、っていうのは当たり前になっていて、そこから頭一つ抜けるための何かが求められる時代になるんじゃないかと思いますね。それは人を惹きつけるような考えやストーリーを持った人たちかもしれません。「あんなサービスを作りたい」じゃなくて、「あんなサービスを生み出せる、あの人になりたい」と思わせるようになったほうがこれからは勝ち抜いていける気がしています。そのためにも私も負けるわけにはいきませんね。


椎木 里佳

1997年生まれ。15歳で起業し、株式会社AMF代表取締役社長。現在、慶應義塾大学文学部1年。女子中高生のマーケティングチーム「JCJK調査隊」を運営し、女子中高生向けのプロデュース事業などを手がけ、株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONの顧問、タグピク株式会社の戦略顧問にも就任。2016年2月には、Forbes ASIAが選定する「30歳以下の世界が注目すべき30人」に選出。


PHOTO BY MOEKO ABE
TEXT & EDITING BY KEISUKE TAJIRI