Life Shift

2016.12.27

「会社よさらば:脱中央型自立組織・論」ジャック・デュ・ローズ

昨年に引き続き、今年も『WIRED』主催による「WIRED CONFERENCE 2016」が開催。大きな話題を呼んだ、棋士イ・セドル九段と対戦したときにアルファ碁から放たれた神の一手の解説や、第二の脳といわれ、人工知能が模倣すべきだとされる「腸」の免疫学など、わずか半日の間に10プログラムもの濃密なスピーチ&トークが繰り広げられた。その中から宝石デザイナーであり、ブロックチェーン企業家、ジャック・デュ・ローズによる、ブロックチェーンから学ぶ会社の在るべき姿を語った、その全文を掲載。

わたしはジャック・デュ・ローズと申します。生活と仕事の境界線は曖昧になってきており、どこに行くかよりも何をするかに重点が置き換わってきています。「コロニー」というブロックチェーンの協同創設者のうちの一人です。わたしは世界の働き方を変えるためにこれをやっています。仕事をよりオープンなものにするためのテクノロジーを創ろうとしているのですが、これについてはまたのちほど詳しくお話します。

コロニーを始める前は、わたしは宝飾会社を設立・経営していました。わたしたちのミッションは、世界で最もすばらしい宝飾品を作ることでした。たとえばピンクダイヤモンドとホワイトダイヤモンド、トルマリンで50万ドルほどするブローチや、ダミアン・ハーストという英国のアーティストのために以前デザインした’For the Love of God’という作品です。これは最終的には1億ドルで落札されたものです。こういったものはブロックチェーンを作ることとは全く違ったことで、まあとても楽しいことでした。ジェットセッターとして世界中を飛び回り、宝石を買いつけ、晩餐会を主催し、という狂騒の中で生きていたわけです。ヴォーグ、ハーパース・バザー、ニューヨーク・タイムズ、エコノミストと、一流の新聞雑誌とも仕事をしました。一方で、その華やかな生活に辟易し始めていました。事実、わたしはロンドン東部の薄暗いアトリエで入れ墨師としても仕事をしていましたし。

さて、そんな我々のような小さな会社が、シャネルやブシュロンなどといった超一流の有名ブランドとどのようにして競争することが出来たのか。その理由は、わたしたちの仕事のやり方にありました。わたしは世界中に散らばった超一流の職人を揃え、顧客の要求に応えるための組織としての柔軟性と成長力を備え、同時に固定支出を低く抑える(我々はたった二人で運営している会社でした)ということを可能にしたのです。

ある日、大金持ちのロシア人顧客から、分野は全く違うけれど、同じような特性を持った非中央集権型・分散型の新しい会社を設立するから、そのサポートをして欲しいという打診がありました。我々のやり方に強みはありましたが、同時に弱点もあり、それは膨大な量のプロジェクトマネジメントが必要で、いつも進行がギリギリだったということです。そこで、そういった新しい組織をやるということならば一度スタイルを見直してみようと考えました。

プロセスをシステム化してもっと簡単に、そして自分のサプライチェーンをもっと自律組織的にしたいと思ったのです。また同時期にビットコインにもとても興味を持ち始めました。わたしが最初にビットコインについて知ったときには1BTC(ビットコイン)の価値は6ドルほどで、「へえ、まあネットでのドラッグの売買に使われるオタクのカネだね」と思ってあまり興味は持ちませんでした。数ヶ月後にまた見たところ価値は35ドルになっていました。パーティに行って銀行員の友人に会ったとき、35ドルっていうのはクレイジーだよね、と言っていたのです。とまあ、すっかり波に乗り遅れてしまったわけですが。まあ、仕方がないですね。

そんなわけで、結局価値が267ドルのときにとうとうわたしも購入に至りました。当時は最高値を更新し続けるような状況だったのですが、わたしが購入した途端に価格暴落が起こりました。暴落直後には適正値に近い価格に戻ったのですが、高騰中はとにかく高すぎました。とまあ、このようにしてわたしのビットコインおよびブロックチェーンにまつわるジェットコースターのような体験が始まったわけです。

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結局のところ、多数のビットコイン購入者が経験したのと同じように、わたしも騙されたことになるわけですが、この暴落はちょうど自分の息子が生まれた直後のことで、わたしの持っていたほぼ全てのビットコインが影響を受けてしまいました。値段についての具体的な言及は避けますが、まあ、ビットコインを寝かせる前に冷静に考えるための観察期間になったということでしょう。もちろんこの状況は喜ばしいものではありませんでしたが、考えさせられることになりました。これは結局自分の間違いのせいであり、選択は2つある、と。さっさとブロックチェーンの世界から離れるか、もしくは徹底的にそれと関わっていくか。もちろん後者が最も良いチョイスだ、ということで、ビットコインとブロックチェーン技術を徹底的に学び、そこに飛び込んだわけです。

そこでわかったことは、ブロックチェーンおよびビットコインは、わたしが宝飾品の会社をより自律的組織にしようと四苦八苦していたときに直面したのと同じ問題を解決しようとしている、ということです。このことを、わたしのビットコインにまつわるひとつの例をとって簡潔にご説明したいと思います。

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ビットコインにおけるマイニング(発掘)とは、同じネットワークの中で仲間との取引を認証するということです。ビットコインが取引されると元帳にデータを追記する必要がありますが、それが正しいものかチェックしなければなりません。それが複雑で数学的パズルを解くようなもので、特別なコンピュータシステムを使い、それだけのために専用のコンピュータネットワークを起動させる必要があります。そして、誰か一人がそれを解くと、全ての取引がブロックチェーン上にいつまでも、不変に記録され、その報酬としてマイナーにビットコインが支払われます。これは大規模なビジネスであり、10分ごとに12.5ビットコインの取引があります。これは現在のビットコイン価値で約8,000ドルということになります。つまり、かなりの大金が関わっている。大企業もこういったビットコインのマイナー用の設備というのを作っています。

ここで重要なことは、誰もこのシステムを監督・管理していないということです。ビットコインを中央で管理して、誰がどうするべきといった指示を出す人は存在せず、この機能を作っている全ての人は参加者であり、ネットワーク内の仲間のひとりなのです。ですから、互いに競争もあります。参加するかしないかは自由ですが、システムに完全に従うしかありません。これは特筆すべき革命的なことです。

なぜならば、ネットワークのインセンティブを誰も信用しないでやる、ということなのです。わたしは非常にインスパイアされ、これと同じ考え方をわたしの抱えた自律的組織を作ること、ビットコインおよびブロックチェーンを自社株の売買に使えないか、と考えました。

しかし、わたしの世界も壊れてしまいました……。いや、むしろ逆かもしれません、神の顕現が起こったのです。カナダ出身の19歳ヴィタリック・ブーテリン(Vitalik Buterin)が白書を出しました。そのビジョンは、新たな非中央集権型のイーサリアム(分散型アプリケーション構築のプラットフォーム)というものについてです。そのときに自分の考え方は狭すぎた、と気がついたのです。

さて、ちょっと違う話をします。この男性はロナルド・コース(Ronald Coase)と言います。彼は1937年に企業理論というのを打ち立てました。その頃までの経済理論は市場がどう機能しているのか、ということについてばかりで、そもそもなぜ企業といったものがあるのか、については誰も注目していませんでした。

コースが注目したのは、企業があるのは取引コストが関わるからで、価格形成のために必要であるからだ、という点でした。会社というのは、わざわざ外部の人間と契約交わすよりも、自分のところで人を雇ったほうが効率的だろう、ということです。

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これが従来型の会社の考え方です。これははっきりとしたヒエラルキー型で、労働を分割する、意思決定のチェーンを作るには有効な方法といえます。この形の理想では、最も経験のある人がトップにいて、だんだん下がっていき、最も若手の社員が実務をばりばりこなす、ということになります。理想的には会社の地位配置はこのような厳格な力の分配にもとづいてなされるべきですが、現実にはこのようにはなかなかいきません。政治的な動きのうまい人が昇進していくことは世の中にはよくあるわけです。またヒエラルキー形の別の限界は、本質的にボトルネック型であるということです。たくさんの人が一人の人の下につき、その人がまた別の人の下につきていき、その中で個人的感情や贔屓目で昇進が決まったりする。なので、それが意思決定やマネジメントに影響してくるわけです。また、大きな会社だと情報が上から下まで流れるのに時間がかかります。ゆえに、会社が大きくなればなるほど動きが鈍くなり、現代のマーケットでの競争力が落ちてくる。

これは現代のコミュニケーションの速度が非常に早くなってきているからです。大きな会社よりも、小さくて新しい、組織が柔軟な会社のほうがどんどんスピーディに作業をすすめることができるようになるわけです。労働と雇用のあり方も変わってきます。以前は大学を出て定年まで仕事をして、毎日働いて家に帰る、というのが理想的と考えられていました。しかし今は違います。多くの人が職を転々としており、とくに欧米ではその傾向は顕著です。

ですから、たとえばひとつの会社からまた別のところへ、個人的幸福という観点と長期的な人生の目標という視点から、そのようなことをする人が増えているわけです。また、自営率も高くなってきています。とくにアメリカ ではこの傾向が顕著で、30%くらいが自分は自営だと自負しており、2020年くらいには50%に至るだろうと考えられています。

Uber、Upwork、Etsyなどのプラットフォームにより、人が仕事を探すことがより容易になってきています。デザイナー、デベロッパーなどはすぐにお客さんを見つけることができるようになっているし、ものの作り手、たとえばEtsyなどでは自分の製品をアップロードしてお客さんを探すことができるし、Uberはみなさんご存知のように、タクシー経営の方法をすっかり変えてしまいました。どこかひとつの元締会社に所属しなくとも、アプリさえ開けば オンデマンドで必要なときに働けることになったのです。

このような新しい種類のテクノロジー・プラットフォームは、通常ネットワークのマーケットプレイスといわれるものです。それはサプライヤーと顧客の取引の中間にいることによって役に立ちます。AirbnbやUberなどはとくによい例であり、このようなソフトウェアの活用によって短期間で市場に非常に大きな影響を与えました。取引のコストをさげ、労働にまつわる価格のメカニズムを完全に変えてしまったのです。それゆえ、Uberは7年間で 660億ドルという非常に大きな会社評価額を得ました。またAirbnbも、世界最大のホテルチェーンに匹敵する255億ドルという評価額を7年間で得ました。そして、 Airbnbのほうがより多くの客室を持っています。

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ただ、このギーク経済も完璧な夢物語というわけにはいかず、このような仕事では雇用の安定は見込めないこともあり、彼らの多くは現状に不満を持っています。彼らはこれらの短所と引き換えにフレキシビリティを得ているわけですが、結局のところ、時間はお金と分かちがたく結びついています。一方で、オープンソースというものは完全にお金とは無関係です。 オープンソースで開発されるソフトウェアは、驚くほど我々が日常で当たり前に使っているテクノロジーの下支えになっています。誇張表現ではなく、オープンソースなくしては、我々は難しすぎてウェブというものを使うことはできなかったでしょう。人々がなぜオープンソースのプロジェクトに従事するかというと、お金のためにするというよりは、本質的な好奇心を満たす達成感や、プロジェクトを通して感じられるさまざまな興奮のためといえます。

オープンソースのプロジェクトというのは往々にして臨時的な仕事であったり、完全なるボランティアであったりするのですが、お金が一切発生しないがゆえに、組織的なものの必要性がぐっと低くなります。金銭的に騙される、騙されないという点での信頼性をお互いに保つ必要のない関係性のなかでは、人はより容易に協働することができます。これはソフトウェアの開発プロジェクトに限った話ではなく、他のさまざまな開かれた組織も生まれてきています。

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アールループ(rLoop) が素晴らしく良い例で、いま非常に最先端でクールなことをやっています。彼らはスペースX のハイパーループ・ポッド・コンペティションから生まれました。誰かがそこでスレッドを作り「おい、俺たちはエンジニア、数学者、デザイナー、物理学者と、世界中から集まった仲間じゃないか、トップを獲るスキルのある集団だ、アプリケーションを使ってやってみようぜ」ということになったのです。そして、彼らはまさしくそれを実行しました。世界中から 100人以上の協力者を得て、オープンイノベーションの精神により、コンペの最終候補にまで残ったのです。

彼らは、唯一の大学チーム以外の最終候補でした。彼らはSlack、GoogleDrive、GitHubなどさまざまなオープンソースのアプリケーションを駆使し、組織は完全に任意参加型にしていました。ですが、彼らにも問題がありました。彼らはとても有用な知的財産を作り出したので、必然的にある時点で会社を設立しなくてはいけないことになったのです。彼らは完全にフラットな、ボランティアベースの形態による組織なので、会社化するにあたり障害が出てきました。それぞれの人たちがこれまでにやってきた仕事に対して、どのように対価を支払うか、という問題です。どのような人に十分な報酬が与えられるのか、今まで貢献してくれた人たちに公平に利益を分配するのか、価値を創り出して来てくれた人たちに損をさせないためにはどうしたらいいのか 、ということです。また、これまでの基本精神であり、彼らを今日見られるまでの成功に導いた、フラットに誰でも参加できるという美点を変えずにいること。

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ここで、コロニーの登場です。コロニーはイーサリアムに組まれた、非中央集権型のアプリケーションです。ここで19歳が開発したイーサリアムに話を戻しましょう。イーサリアムというのは、一言で言うと伝統的なコンピューター・テクノロジーのプラットフォームとは違うものです。従来の方法は、たとえばラップトップやInternet Explorerがあり、サーバーがあってFacebookなどにアクセスをしてコミュニケーションをとる、というものでした。イーサリアムはそうではなく、非中央集権型の、中央サーバーのない構造になっています。さまざまな人が、ビットコインのマイナーのように、それぞれのコンピュータを起動して仲間同士がコミュニケーションをとるやり方でプログラムを使っているわけです。そうすると、中央集権型のサーバーとは違って、何か問題が起こっても失敗が全体に影響することがありません。これは我々にとって非常に重要なことで、なぜならば我々はコロニーは組織のインフラたり得ると考えているからです。ただ我々もスタートアップですから、リスクはさまざまにあります。多くのスタートアップは必ずといっていいほど失敗する。我々は組織のためのインフラを創成していると考えていますので、我々のプラットフォーム上に作られるのはスタートアップやその他さまざまの新しい組織であるべきと考えています。

また、わたしたちにとって非常に重要なことは、もし某かのビジネスがテクノロジーの上に生まれるのであれば、その存在がわたしたちの存在に依拠するべきではないと考えました。つまり、もしもわたしたちが失敗をしても、それが彼らに何ら影響を与えてはいけない、と思ったわけです。それが、イーサリアムが私たちに約束してくれていることです。

コロニーとしてのわたしたちのミッションは、誰もが月曜を喜んで迎えるようにしたいと思ったわけです。たとえば日曜に喜んで週末を終えて、その先の週も楽しみにする、今まではそうではありませんでした。たとえば、あと5日また働かなくてはいけないのか、今度の週末まで苦しまなければならないのか、といった経験は誰にもあるでしょう。わたしたちはそれを、仕事をもっとオープンにすることで可能にしたいと考えました。比較的小さい会社、たとえばデジタルエージェンシーやマーケティング会社で、社内のチームは小さいけれど、外部にたくさんのコントリビューターがいる、というような組織が、AirbnbやUberが機能しているやり方と根本的にはほぼ同じやり方で機能するようにしたかったのです。

ソフトウェアが媒介者となって外部の契約者との間にたつことで、オンデマンドの需要を創出/測定できるようにし、そのためのコストが(通常はそうであるように)需要のサイズに比例して大きくなることなく市場のニーズに応えられるようにする、ということです。

内部に対してもオープンであることも重要です。今さまざまな企業、たとえば多国籍の銀行からもアプローチを受けていますが、彼らはいま非常に大きな問題を抱えています。というのは、先程もお話しましたように、小さな会社も彼らと肩を並べることができる時代になり、競争が激化しているからです。また彼らには何千何百というスタッフがいて、それぞれ多くの才能があるのに、それぞれの席に座り任された役割をただこなしているだけの状態になっている、ということにも彼らは気がついています。潜在的な才能をみな持っているわけで、それを育てていきたい、イノベーションに使っていきたいと考えているのです。

しかし、イノベーションはトップダウン体制だと非常に難しい。ボトムアップのほうが効果があります。新しいインスピレーションはどこからあがってくるかわかりにくいからです。そこで彼らは、スタッフに20%の時間を利用して、彼らが最も重宝されるところで、得意とすること、やりたいことをして貢献してもらうためにコロニーを取り入れています。

そして最後に、グローバルにオープンであるということ。これが最も劇的かつ革命的な点です。伝統的な形でいえば、フリーランスとして何か仕事をするときのやり方が最初のモデルのようになっています。外部に対してオープンでいて、プロジェクトベースで仕事をし、そのまわりでいろいろな調整をしている。この動きがつまりは我々の会社のやっていることなのです。我々は世界中に拠点を置き、コーディネーションをその会社を中心に行っています。

つまりブロックチェーンのまわりに人材が集まっているとも言えます。これが実際のところ何を意味するかというと、ネットワーク上にあるコンピュータープログラムと同じように、合理的な契約がそれに該当します。人々が集まって参加できるようなルールを定義するので、参加者はお互いを騙したり出しぬいたりすることができない仕組みになっており、システムの信用とは関係のないものにしています。

つまり、会社のために働くのではなく、ソフトウェアのまわりで働くという形になっているのです。これがブロックチェーンでいうビットコインの発行につながるのです。デジタルトークンの所有者は、たとえば会社の所有権、金、あるいはもっとエキゾチックな何かなど、さまざまなものの所有権を有することができます。わたしたちだけがこのような原則にもとづくシステムを使っているわけではありません。オルガ、ゴーレム、オルネージなど、今さまざまな会社がこのようなコンセプトのもとに仕事をしようとしています。

オルガというのはマーケット予測、ゴーレム(golem)はスーパーコンピューターの配布、オルネージはゲームの開発者がブロックチェーンに登録されているデジタルゲームのコンテンツを開発・リリースできるようにしているものです。重要なことは、これらのプラットフォームの特徴を定義すると、これらの珍しい不安定要素の大きなデジタルトークンは、広い仲間のネットワークの中で配布されてこそ有効でありえるということです。なぜならば、これらの人々は金銭的にインセンティブを得るられることで参加する気が起こり、ネットワークの中で機能を果たそうと思うようになるからです。今考えていることは、このようなシステムは新しいオルタナティブな経済システムの始まりではないか、ということです。伝統的な資本主義と共存できるポスト資本主義的なアプローチは、極めて合理的といえましょう。なぜならば、今日の世の中では、価値は構築した知的財産だけではなく、参加したユーザーと築いたネットワークにもあるからです。このブロックチェーンにもとづく分散型の会社は、これに近い理念を持っています。

ネットワークの要素が含まれることをつなぎ合わせていくのは非常に難しいことです。ただ、分散型のプロジェクトはトークンを売ることができ、それによってネットワークに参加することのインセンティブを与えます。なぜならば、それが金銭的にインセンティブを得た人々のネットワークを構築することを助け、それがプラットフォームへの貢献に反映され、それによって人は増え、価格は上がり、より多くの人が参加し、プラットフォームのユーティリティが一層充実し、というふうに、よいサイクルが続いていくことになるからです。

伝統的な会社における最終的な目標は、たいていの場合株や純資産を出来る限り多く得ようとすること、そしてそれをなるべく保持しようとすることです。お金を保持すれば、たとえば自分の株を売るなどして資産を増やすこともでき、従来はそのようなやり方で自分の価値を高めてきたわけです。しかし、この新しい分散型のモデルでは、どれだけのものを獲るかではなく、このオーナーシップをできるかぎり広げていけるかが重要であり、自分が保持する部分は非常に小さくなります。トークンの数が増えて汎用性が高まり、プラットフォームから報酬が得られるモデルが拡散すると、多くの人たちがその価値を共有することになります。そうなると、ビットコインを自分と他の数人だけで少しずつ持っているよりも、何百万という人に少しずつ持って使ってもらったほうがよいわけです。このようなシステムの中では、オーナーがワーカーにもなります。そうすると、そこには分散型の自律的組織が生まれます。これは先にも軽く触れたように、この分散型の自律的組織というのは本当の意味でそうなのかは疑わしいと思ったこともありますが、このような組織の基本的な性質は、常にオープンであり、貢献したいと思っている人は誰でも雇用の対象となり、そして彼らに報酬が与えられる点は素晴らしいといえます。

ご清聴ありがとうございました。


TRANSLATION BY MAKI NISHIDA
EDITING BY KEISUKE TAJIRI

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